あなたは保釈金というものを知っていますか?
ドラマなんかでは保釈金を支払ったら刑務所からでてくるようなイメージを持たれている方がいるかと思います。
今回は「保釈金が没収されたら国庫に?返還されない理由は?」ということで、保釈金とはなんなのか、保釈金が没収されたらどうなるのかなどを紹介します。
目次
保釈金とはそもそもなに?

ではまずは保釈金とはなにかを紹介します。
保釈金は担保である
保釈金とは担保です。
もっと詳しくいうと
保釈中の人が逃亡しないことの担保として裁判所(国)に納付する保証金のことをいいます。
もっと簡単にいうと
身柄を解放してもらうためのお金です。
基本的に刑事事件では逮捕されると身柄を拘束されます。
単純な事件であれば数日で保釈保釈されることもありますが、複雑な事件だと操作に時間がかかり拘束期間が伸びます(勾留)。
仮に起訴された後であっても勾留が必要となると数ヶ月続くことがあります。
この段階で「保釈」という制度が設けられます。
保釈が許されない可能性もあり
保釈は起訴された全ての人に許されるものではありません。
まずは保釈が許される3つのパターンがあります。
- 権利保釈
- 裁量保釈
- 義務的保釈
この中で1番一般的なのが権利保釈です。
権利保釈とは、被告人や補佐人、配偶者、家族などから保釈の請求があった際に裁判所が保釈を許さなければならないものです。
保釈の話が出た段階ではまだ有罪判決は出されておらず、無罪となる可能性があります。
つまり、この段階では犯罪者ではないためこの権利があります。
しかし、この権利保釈でも保釈が許されないパターンが6つあります。
- ①死刑、無期又は短期1年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した場合(同条1号)
「短期1年以上」とは、「2年以上の懲役に処する」(非現住建造物等放火罪)など、法定刑の刑期の下限が1年以上であることをいう。- ②過去に、死刑、無期又は長期10年を超える懲役・禁錮に当たる罪について有罪判決を受けたことがある場合(同条2号)
「長期10年を超える」とは、「15年以下の懲役に処する」(傷害罪)のように、法定刑の刑期の上限が10年を超えることをいう。- ③常習として、長期3年以上の懲役・禁錮に当たる罪を犯した場合(同条3号)
- ④罪証隠滅のおそれがある場合(同条4号)
実務上は、勾留要件における罪証隠滅のおそれと同義であると解されている。- ⑤被害者や証人に対し、危害を加えるおそれがある場合(同条5号)
- ⑥氏名又は住所が明らかでない場合(同条6号)
引用元:刑事訴訟法89条より
この①〜⑥に当てはまる場合は保釈は許されないということになります。
- 裁量保釈:裁判所は請求がなくても、裁量で保釈を許すことができる。
- 義務的保釈:勾留による拘禁が不当に長くなった場合、裁判所は保釈を許さなければならない
この二つで保釈となることはかなり少ない!
保釈金が没収されたら国庫に?返還されない理由は?

では続いて保釈金が没収される理由などについて紹介します。
保釈金は基本返還される
保釈金は基本的には返還されます。
先述したように保釈中の人が逃亡しないことの担保として裁判所(国)に納付するものが保証金のことをいいます。
つまり、判決の後は納付させておく必要がないため返還となります。
保釈金が担保として成り立つのは、被告人が逃げた際に保釈金が変換されないためなのです。
しかし、保釈金が変換されないパターンもあるのです。
保釈金が没収される原因と没収されたらどうなる?
保釈金が没収されタイミングとしては「保釈が取り消された時」です。
保釈金の取り消しと保釈金の没収は同時に行われます。
裁判所が保釈を取り消すことができるパターンは5つあります
- 被告人が裁判の期日に正当な理由なく出頭しない。
- 被告人が逃亡または、逃亡すると疑われる相当な理由があるとき。
- 被告人が証拠を隠滅したとき、または証拠を隠滅すると疑われる相当な理由があるとき。
- 被告人が被害者などの関係者、その親族の身体や財産に危害を加えたときや加えようとしたとき、または、これらの者を怖がらせる行為をしたとき。
- 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
以上の5つです。
衆議院議員の秋元司さんは収賄の罪で起訴され、その後の証人買収事件でも逮捕・起訴されて保釈が取り消されていました。
この場合は3つ目の「被告人が証拠を隠滅したとき、または証拠を隠滅すると疑われる相当な理由があるとき。」
に当てはまったわけです。
没収された保釈金は国に帰属され、国庫に入ることになります。
保釈を取り消されるだけでなく、保釈金すらもなくなってしまうなんて・・・
秋元さんの場合は3000万円ですからね。
恐ろしい話です・・・
まとめ:保釈金は担保であり、失う可能性もあり!
「保釈金が没収されたら国庫に?返還されない理由は?」ということで紹介してきました。
罪を重ねると保釈だけでなく、たくさんのお金も失ってしまいます。
ドラマのように上手くはいかないということですね!
保釈金が返還されない理由や保釈が認められない理由が明確にもなっているのにもかかわらず、罪を重ねるかたもいます。
まずは自分の罪をしっかり償っていただきたいものですね!