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里親制度のメリット・デメリットは?里親による虐待は事前に防げない?

あなたは里親制度を知っていますか?

普段の生活の中で里親と聞くと犬や猫などを思い浮かべる人もいることでしょう。

しかし、私たち人間にも里親があり里親制度というものが定められています。

今回は「里親制度のメリット・デメリットは?里親による虐待は事前に防げない?」ということで紹介します。

里親制度とはなに?

まずは里親制度についてお話しします。

里親と里親制度

里親とは

様々な事情により家庭で暮らせない子供を自分の家庭に向かい入れて養育する人のことを指します。

里親制度とは

児童福祉法に基づいて、里親となることを希望する方に子どもの養育を頼む制度です。

昭和23年(1948年)から里親制度は続いています。

かれこれ70年以上の歴史がある制度であるため知っていて損はありません。

特別な人しか里親になれない?

里親には特別な人しかなれないのでは?と思う方は少なくはありません。

私も調べる前はそう思っていました。

しかし、里親になるための条件は思っていたよりも厳しいものではありませんでした。

  1. 児童相談所に相談する
  2. 登録要件の確認(里親になりたい理由や様々な背景など)
  3. 認定前研修申込・受講(座学2日間、施設実習2日間)
  4. 申請
  5. 児童相談員による家庭訪問
  6. 里親認定部会

このような流れとなります。

あまりにも家庭環境が悪かったり、人間性が悪くなければ通るようです。

経済的に困窮している場合は不可となる可能性があります。

なぜ里親制度が必要なの?

様々な事情により家庭で暮らせない子供は施設に行くことがほとんどです。

いわゆる児童養護施設です。

児童養護施設はできるだけ一般的な家庭生活を提供し、施設を離れた後は自立して社会生活を営めるように支援します。

あくまでも離れる前提の施設です。

施設にずっといるよりも、家庭にいた方が子供は特に成長が良いと言われています。

施設にいたままでは愛着障害となってしまう可能性もあります。

愛着障害とは親などの特定の養育者との愛着形成がうまくいかないことで現れる困難の総称。

そうなってしまうことを防ぐ、つまり正しい成長をさせてあげるために里親制度で家庭に迎え入れる必要があるのです。

そのためにも里親制度は必要となります。

里親制度のメリット・デメリットは?

では里親制度にはメリットとデメリットがあるのでしょうか?

子供側、里親側両方混ぜての紹介となります。

里親制度のメリット

ではまずはメリットからいきましょう。

子供の正しい成長に大きく寄与

施設にずっといるよりも、家庭で過ごした方が子供の成長には良いと言うお話はしました。

もちろん、すぐに馴染むと言うのは難しいかもしれませんが、時間が解決してくれることがほとんどです。

家族からの愛情は血のつながりの有無では計り切れるものではありません。

家族が増える

里親には子供の有無は関係ありません。

子供がどうしてもできないという夫婦も里親として子供を引き取ることはできます。

実際にそういった家庭もあります。

子供がいた時といない時では環境が全然違うことでしょう。

子供が欲しかった夫婦からすると念願の子供です。

苦楽をともにする家族が増えて嬉しくないわけがありません。

成長を見守ることができる

子供の成長を見届けるのも楽しいものです。

反抗期や思春期などもあるでしょう。

泣いたり、笑ったり、悩んだりとたくさんの顔を見ることになります。

子供だけでなく里親の方の成長もあります。

たくさんの成長が見られるかもしれません。

里親制度のデメリット

では続いてデメリットです。

子供と家庭が合わない

こればっかりは・・・と言う感じもしますが、子供と家庭が合わない可能性もあります。

もちろん、児童相談員による面談などもなんども行われますがどうしても合わないこともあります。

しかし里親でなくても一般の家庭でも起こりうることではありますので、このようなことがあったら児童相談所に相談してみましょう。

里親には親権はない

これが意外と知らない方が多いのですが、里親には親権はありません。

あくまでも里親は「一時的」なもので、元の家庭で生活ができるようになったらそこに戻ることになります。

里親には親権はありませんが、養子縁組では親権を得ることができます。

そのため、親権が関わってくるようなことが起きると里親の場合は弱くなってしまいます。

里親による虐待

近年問題となっているのが里親による虐待です。

詳しくは後述しますが、年々増えています。

いわゆる暴力による虐待だけでなく性暴力もあるようです。

児童指導員による面談や里親認定部会などもあるのにもかかわらずなぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。

里親による虐待は事前に防げない?

今の状態では里親による虐待は防ぎ切ることはできません。

2009年から2018年の9年間で100件の虐待が起きています。

1年で10件と考えると少なく見えるかもしれませんが、里親の元へ行った人数を考えると決して少なくはありません。

なにより、1件でも起きている時点で問題です。

里親登録している世帯 約1万2300世帯(2019年時点)
里親のもとにいる子供 約5500人(約4300世帯)

2019年時点で5500人の子供たちが里親のもとに預けられています。

児童養護施設に来る子供の人数を考えると里親登録、里親に行く子供の人数はかなり数ないようです。

支援業務を委託されている民間団体の立場を法的に明確にしてほしいとの訴えもあります。

しかし、今の状態では虐待に合う子供を増やしてしまうことになりかねません。

里親による虐待を未然に防げない理由として大きいのは「複数回の面接だけで人間性の判断が難しい」ということです。

結局のところ、里親の人間性を見抜くというのはかなり難しいものですし、一般の家庭を装うこともできてしまいます。

里親を増やすことも重要ですが、里親を選ぶ方法なども見直さなければ虐待の数は減らず、さらに増えてしまうと思われます。

まとめ:里親制度は成長を見届けることができるが、虐待が起きていることも見逃せない

里親制度のメリット・デメリットは?里親による虐待は事前に防げない?」ということで紹介してきました。

メリット・デメリットはもちろんそれぞれありますが、デメリットは一般の家庭でも起こり得ることです。

なによりも虐待問題が解決できなければ、里親制度に疑問視される声が出てしまう可能性もあります。

子供たちの正しい成長を守るためにも早急に整備していただきたいですね!