政治・経済

無戸籍の実態は?子供は学校には通える?芸能人にもいる?

私たちは生まれたのちに出生届がだされることで戸籍を作成されます。

しかし世の中には個性のない「無戸籍者」と呼ばれる方々がいます。

戸籍を持たない方々は今の日本ではどのようになっているのでしょうか。

今回は「無戸籍の実態は?子供は学校には通える?芸能人にもいる?」ということで紹介します。

無戸籍の実態は?

では現在の無戸籍の人たちの実態はどうなっているのでしょうか。

私たちは無戸籍に人たちについて知ることはほとんどありません。

推計で1万人の無戸籍者がいると言われている

民間支援団体「民法772条による無戸籍児家族の会」では推計で1万人の無戸籍者がいると言われています。

あくまでもこの数字は国の公式な数値ではなく推計となっています。

2018年時点では「715人」の戸籍を持たない人が日本にいると国では把握しています。

つまり、表立って見えないところに未だに9300人ほどの無戸籍者がいるとされています。

私たちの日常において「無戸籍」という言葉が使われることはほとんどありません。

無戸籍者数を1万人とすると日本全体の0.01%です。

1万人に1人ということになります。人は生涯で約9万人に会うと言われています。

意外と何人かにはあっている可能性もあります。

無戸籍者は病院などの公共機関は使えるの?

無戸籍の人は病院などの公共機関を使うことはできるのでしょうか?

2020年12月に無戸籍だった高齢の女性が無戸籍だった故に受診できずに餓死してしまったという悲しい報道がありました。

その女性には40代の息子がいましたが、どうすることもできずに亡くなってしまいました。

無戸籍だったため受診できなかったということですが、保険証がなかったということでしょうか。

保険証がない場合は通常10割の負担となってしまうため高額となってしまう可能性があります。

詳しいことはわかっておりませんが、保険証を筆頭に身分を証明するものがなかったのでしょう。

しかし、健康保険証は出生証明書があれば発行することができます。再発行も可能です。

もしかしたら出征証明書すら出してもらえない理由があったのかもしれません。

なぜ無戸籍となるの?

無戸籍となる理由の75%は「嫡出推定」を避けるために選択されたと言われています。

嫡出推定規定とは?

ある夫婦の結婚生活が破綻しており離婚間近の別居をしていますが、夫は離婚を商人しません。

女性が別の男性(夫以外)と関係をも持ってしまい、妊娠・出産をしました。

その際に、実際には夫ではない男性との子供ということになります。

しかしここで夫が「性交渉はあったから自分の子供だ」と発言すると誰の子供なのかわからない状況になります。

証拠となるものがないためこのような状況となります。

そこで民法には妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定するといった文言があります。

というのが嫡出推定というものです。

離婚後300日以内に生まれた子供は婚姻中に妊娠したと推定されるわけです。

嫡出推定の利点は子供の社会的立場が保証されるというところです。

しかし、本当は夫の子供ではないということを考えるとそれは避けたいと考える方もいます。

この嫡出推定を避けるために子供の戸籍を無戸籍とする選択をしている方もいるのです。

実子ではないことに理由に暴力を与えるなどの事件も過去に何度もありました。

そういったリスクをさけるため、子供を守るための選択であることを忘れてはいけません。




無戸籍の子供は学校には通える?

日本には「国民は、その保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。」という義務教育の文言があります。

では無戸籍の子供は学校に通えるのでしょうか。

文部科学省が明記している

文部科学省公式HP

上記の文部科学省のHPにも書いていますが、学校教育法施行令第1条第2項には学齢簿の編製は住民基本台帳に基づいて行うとものとなっています。

つまり無戸籍者は学校に行くことができない・・・というわけではありません!

市町村教育委員会は、住民基本台帳や戸籍に記載されていない学齢児童生徒が域内に居住している事実を把握した際、直ちに当該児童生徒に係る学齢簿を編製するとともに、対面により丁寧に就学の案内を行うなど、住民基本台帳や戸籍に記載されていない学齢児童生徒が就学の機会を逸することのないよう取組を徹底することが必要

文部科学省公式HP

つまり、無戸籍であっても学校に通うことはできます。

むしろ通わなければなりません。市町村教育委員会にはその義務(そこまでは強くはないか?)があります。

しかし、このことを知らない人が多いのも事実です。

無戸籍者であっても就学手続きを積極的に取るべきなのです。

実際に無戸籍の子供はいるの?

実際に無戸籍の子供はいたのでしょうか。

少し古いデータになってしまいますが、2015年3月時点で全国に142人の無戸籍の小中学生がいました。

つまり、無戸籍の子供もいますし無戸籍でも学校に通うことはできます。

学校に通うことができないことを知らないというのが1番大きいのかもしれません。

無戸籍の就学している子供の35%が就学援助を受けており、そのうち生活保護世帯は12%となっています。

無戸籍=低所得とはなりませんが、低所得である割合は多いといっても良いかもしれません。

所得の関係で就学させられない家庭もあるかもしれません。

そういった場合は自治体に要相談です。




無戸籍の芸能人にもいる?

では最後に、無戸籍の芸能人はいるのでしょうか。

今現在、無戸籍の芸能人を調べても誰もヒットはしません

しかし、ダルビッシュ有選手のお子さんの妊娠期間が間違って報道されてしまい300日問題(いわゆる嫡出推定)が挙げられていました。

実際には300日以内での出産ではなかったため嫡出推定には引っかかりませんでした。

また、爆笑問題の田中さんの元嫁は離婚後出産をしました。離婚前から夫婦生活は破綻していて、元嫁が別の男性との子供を授かっていました。

しかし法律上は田中さんのお子さんとなってしまうため、田中さんは家裁にDNA鑑定結果を提出したという過去があります。

現在はDNA鑑定の技術が上がっているためこういった証拠になりますが、そういった鑑定などの技術が今ほどではなかった時代には嫡出推定に引っかかっていた人が多かったののでしょう。

このように、芸能人であっても無戸籍とは近くも遠くもない位置にあるということは忘れてはなりません。

そう考えると私たち一般人はもっと近い位置にいるかもしれませんね。

まとめ:無戸籍でも日本なら受診も学校にもいける!

無戸籍の実態は?子供は学校には通える?芸能人にもいる?」ということで紹介してきました。

無戸籍となってしまった理由は人それぞれあります。

しかし無戸籍だからといって社会からの保証などから外れてしまうのは違います。

身近に無戸籍かな?といった人などがいたら一言声をかけると良いかもしれませんね。

無戸籍であるが故に苦しんでいる人が減ることを祈っています。